今回の親権訴訟は「両親が別居・離婚した子供の幸せはどうしたら実現されるのか」という命題が問われているといえる。しかし子供の幸せのあり方をめぐる夫側と妻側の考え方は真っ向対立。専門家は離婚後も両親の関係を修復して子供の利益を守る仕組みを構築する必要性を訴えている。
「親権争いで有利にするため、一方の親による子供の無断連れ去りや、ドメスティックバイオレンス(DV)の主張は多い」
夫の代理人、上野晃弁護士はそう話す。
「妻側のDVの主張を裁判官が重視し、証拠もなくDVが認定されたケースは多い。DVが事実の場合もあるが、実際は単なる夫婦げんかのこともある。認定は慎重であるべきだ」
実際、今回の訴訟で妻は「夫にDVがあった」と主張。だが1審判決は「DVはなかった」と判断した。
DV冤罪横行?
2審で争点化した「子供の意思」についても上野弁護士は慎重な立場だ。「子供の意思と、子供の利益は別だ。意思は大切だが絶対的正義とすべきではない」
「両親が離婚しても、双方から愛されるのが子供の幸せだと1審は判断した。2審も同様の判断が示されることを望む」と話した。