北朝鮮情勢

「なぜ金正恩だけが自由に喫煙」息子の疑問が亡命後押し 北元駐英公使が会見

 【ソウル=桜井紀雄】昨年7月に脱北し、韓国に亡命した北朝鮮の元駐英公使のテ・ヨンホ氏が25日、ソウルで外国メディアと会見した。テ氏は、金正恩朝鮮労働党委員長が国民生活を犠牲にし、米国に対抗して2017年に核・ミサイル開発を完成させる意思を示したことで、北朝鮮に「これ以上未来はない」と考え、亡命を決意したと明らかにした。

 北朝鮮では、外交官の家族を「人質」として国内にとどめることで、外交官を統制してきたが、「運よく2人の息子をロンドンに連れて来られた」ことも亡命の決意を後押ししたという。

 息子はロンドンでインターネットなどに触れ、北朝鮮では「なぜ自由ではないのか」などと盛んに質問するようになった。友人からは、公共の場での禁煙について尋ねられ、「なぜ金正恩だけが自由に喫煙できるのか」とバカにされたこともあったという。亡命後、息子たちは「韓国で自由を満喫している」と語った。

 統制社会の中で、北朝鮮の人々は隠れて韓国ドラマを見ているとし、摘発されても賄賂を渡せば、逃れられるのが実情だと指摘した。

 朝鮮半島の核危機を解決するには「正恩政権を崩壊させなければならない」と強調。そのためには、外部からの情報の流入が最も重要だと主張した。

 北朝鮮の伝統的な体制が崩れてきており、今後、「さらに脱北者が増えるだろう」とも予測した。

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