浪速風

ちゃんこがしみている

「稀勢の里はなぜ優勝できないのか」。1年前、小欄は舞の海秀平さんのコラム「相撲俵論」を引いた。横綱に一番近いと言われながら、日本出身力士として10年ぶりの優勝を琴奨菊に先を越された。「(勝ち方が)その日その日で違うからだ。失敗を次の勝利に生かせないから、同じことを繰り返す」

▶舞の海さんの歯がゆい思いが伝わってくる。「稽古というのは番数をこなすだけでなく、この形になったら誰にも負けないという相撲を確立するためにある」。きっとコラムを読んでいたのだろう。昨年1年間は抜群の安定感で、年間最多勝に輝いた。そして初場所で、ついに悲願の初優勝。

▶2横綱が途中休場で対戦なしという幸運もあったが、運も実力のうち。横綱審議委員会で文句なしに推挙された。中学卒のたたきあげで、ちゃんこの味がしみている。新入幕から73場所かかっての横綱昇進は遅咲き記録だ。大阪の春場所で披露される土俵入りが待ち遠しい。