浪速風

民主主義の試練

「民主主義は最悪の政治形態といえる。これまで試みられた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けばだが」。英国宰相チャーチルは皮肉屋らしい表現で、逆説的に民主主義を肯定した。が、民主主義には危うさがあるのも事実だ。最近よく耳にするポピュリズム(大衆迎合主義)もその一つだろう。

▶トランプ米大統領は「米国第一」を掲げて、現状に不満の層をがっちりつかんだ。就任早々、公約した政策を実行に移している。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)からの離脱、医療保険制度改革(オバマケア)の撤廃、不法移民の流入を防ぐためメキシコとの国境に壁を築くのも本気らしい。

▶さぞかし拍手喝采と思いきや、就任に抗議するデモは一部で暴徒化して警官隊と衝突した。「反トランプ」は世界に広がっている。自由と民主主義の国に亀裂が入り、苦悩している。民主的にリーダーを選んだが、はたして熟慮の一票だったか。教訓は米国だけではない。

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