乳児の予防接種の回数を減らせる新しいワクチンを医薬品大手の田辺三菱製薬が開発していることが22日、分かった。感染症から守るため、予防接種法で推奨されているゼロ歳児の定期接種の効果を維持したまま、3回分の注射を減らすことができるという。回数の削減によって、接種漏れを防ぎ、子育て世帯の負担軽減にもつながるとみられ、同社は平成32年度にも国の承認を得て医療現場で使えるようにする方針だ。
同社が開発している小児向けの新ワクチンは「5種混合ワクチン」。破傷風とジフテリア、百日せき、不活化ポリオの予防ワクチンを混ぜた「4種混合ワクチン」と、髄膜炎などを予防する「ヒブワクチン」を一緒にまとめた製品だ。
これまで「4種混合」と「ヒブ」はゼロ歳のうちに、それぞれ3回ずつ、計6回打つことになっていたが、新ワクチンを使えば、3回で済む。最初の接種は「4種混合」よりも約1カ月早い、生後2カ月から打てることを目指す。
現在ゼロ歳児に推奨されている定期接種は「4種混合」と「ヒブ」に加えて、「B型肝炎」「肺炎球菌」「BCG」の計5つワクチンがあり、合わせて13回の注射が求められている。新ワクチンにより、計10回に減らせる。
乳児へのワクチン投与をめぐっては、最初の接種から約1カ月の期間をあけて打たないといけないものがあるほか、接種日近くに子供が発熱して予定がずれたり、日程をうっかり忘れたりして、スケジュール管理が煩雑になりがちだった。
ワクチン接種の啓発活動を行っているNPO法人「VPD(Vaccine Preventable Diseases=ワクチンで防げる病気)を知って、子どもを守ろうの会」副理事長の藤岡雅司医師は「生後2カ月から打てる5種混合ができれば、とくに百日せきの免疫獲得が早まる。接種漏れも減り、接種率も上がるので、感染病予防の点で期待できる」と話している。