千葉県成田市の動物プロダクションで飼育員がライオンに襲われた事故は、猛獣がいる飼育舎の中で作業をしていた特殊な状況が明らかになった。作業中の飼育員らが猛獣に襲われる事故は過去にもあったが、いずれも作業手順のミスや施設の不備などが原因。専門家は今回のケースについて「考えられない状況」と危険性を指摘する。
事故は飼育舎内で飼育員がライオンの体を洗っている最中に発生。ライオンを飼育している東北サファリパーク(福島県)では、ライオンに近づくことは危険なため避けるといい、けがの治療など近づく必要がある場合は麻酔を打った上で作業に当たるという。
石田嘉良(よしお)副園長は「保健所からの厳しい指導があるはずで、ライオンがいる獣舎の中に入ること自体がおかしい」と指摘する。
一方、同様にライオンを飼育している佐藤動物プロダクション(横浜市)の佐藤護代表は「毎日、獣舎を清掃していればライオンは洗う必要がない」と疑問を呈す。
佐藤代表によると、清掃の際には別のおりにライオンを移して作業するが、清掃を怠らなければライオンの体が排泄(はいせつ)物などで汚れることはない。万が一、ライオン自体を洗う必要が生じても、ライオンは水を嫌うため作業は危険が伴うことが予想され、おりの外から洗うという。佐藤代表は「今までよく事故がなかったと思う」と述べた。