新聞に喝!

慰安婦像問題 韓国感情に合わせず冷静に ブロガー・投資家 山本一郎

日本総領事館前の道路に設置された慰安婦像=韓国・釜山(名村隆寛撮影)
日本総領事館前の道路に設置された慰安婦像=韓国・釜山(名村隆寛撮影)

 日韓両政府合意に基づく日本在外公館前からの撤去をめぐり揉(も)めている慰安婦像問題については、積年の日韓関係のこじれの原因になっていた事案の不可逆的な解決を目指した取り組みであっただけに、産経新聞でも連日これを取り上げています。17日1面(東京版)の「竹島に慰安婦像計画 韓国地方議員団 年内設置へ募金開始」でも触れているように、韓国側は地方議員や民間が主体となり募金を呼びかける形で、領土問題の残る竹島に慰安婦像を置く動きも出てきており、外交的には一定の解決を果たしたはずの韓国政府側が、むしろ韓国国内の民情の激化に手を焼いている印象です。

 背後には、国際的に極めて厳しい環境におかれている韓国の外交面での深い悩みが存在していることは言うまでもありません。米国のドナルド・トランプ新大統領側近からは、在韓米軍引き揚げもちらつかされながら朝鮮半島での高高度防衛ミサイル(THAAD)配備を突き付けられ、これが理由で中露から強い反発を受けている状態です。そこへ弾劾訴追案の可決で朴槿恵(パク・クネ)大統領が実質的に政権の当事者能力を失い、日韓外交を誠実に推進する責任者が不在となった状態で、沸騰する世論をコントロールしながら合意を推進することは不可能でしょう。

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