トランプ大統領始動

「すべてが内政の延長線上に」 海野素央・明治大教授が演説を分析

明治大学の海野素央教授
明治大学の海野素央教授

 トランプ大統領の演説は、「米国第一主義」などの言葉から選挙期間中と同じではないかという見方があるが、発見もあった。

 既存の支配者から市民に権力を取り戻すと宣言することで、「これこそが民主主義だ」という隠れたメッセージを発信したと思う。

 ほぼ100%、内政に関する問題に時間を費やしたことも特徴だ。「工場」「労働者」「産業」といった言葉を多用し、「米国第一」が内政重視であることを示している。経済、外交、安全保障などは、その延長線上にあるというイメージだった。

 就任式という公式な場を意識してか、選挙期間中のように強く見せるためのダイナミックなジェスチャーは抑え気味だったが、最後に自らの支持者の合言葉でもある「米国を再び偉大に」のくだりはゆっくりと語り、彼らにメッセージを届けているというアピールを感じた。演説は、トランプ大統領を当選させた白人労働者層の心には突き刺さっただろう。

 一方、人種、民族、文化的価値観、寛容さなどについてはほとんど触れず、重きを置いていないことがうかがえ、国内分断の溝は埋まらないと予感させた。(談)