妊娠から出産後の育児までを一括して支援するフィンランドの先進的な取り組み「ネウボラ」を参考に、県が広島版ネウボラの構築に乗り出す方針を固めた。支援の窓口を一本化し、保健師や助産師、看護師のほか自治体の担当者を配置。まずは平成29年度にモデル事業として福山市などに20カ所程度を開設し、33年度以降には125カ所に増やしたい考え。
ネウボラは、子供の貧困問題などを背景に、先進的な支援を進めるフィンランドの言葉で「助言の場」を意味する。
子供を取り巻く環境を総合的に改善することで虐待の予防や少子化対策などにつなげるのが狙いで、日本でも参考例とする自治体が相次いでいる。
県内では現在、母子保健や産後ケア、育児支援などの業務は担当機関が異なったり、複数機関にまたがったりして、一括した支援ができていないとする指摘がある。
そのため県は、県内自治体とも連携し、一括して相談を受け、支援サービスを提供する窓口の整備に乗り出す。
県のモデル事業を実践する県内自治体に対し、国の補助対象外となる費用を負担する仕組みを想定している。
具体的には、窓口の設置場所として、妊娠や出産後の育児支援などに深く関わる各市町の保健センターなどを想定。相談員として保健師や助産師、看護師などのほか市町の育児支援などの担当職員を配置する。
日中に相談を受け付ける。相談員が情報を共有し継続的に対応することで、母親らとの信頼関係を構築する狙いもある。
こうした相談員の人材を確保するため、育生の研修も県が実施。窓口を125カ所に拡大する33年度以降には、相談員を約500人規模にまで増やしたいとしている。