ただ弁護士の間には、日弁連の決定について「万人が持つ提訴権を代理して裁判所の判断を仰ぐのが職務なのに、提訴や訴訟内容を理由に懲戒されるリスクがあるなら、暴力団絡みの事件などは引き受け手がいなくなる」と危惧(きぐ)する声もある。
男性弁護士は取材に「日弁連の決定は異例で納得できない。正当な訴訟活動で懲戒されれば弁護士全体の萎縮につながる。懲戒委で正当性を訴える」と話した。(小野田雄一)
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■弁護士の懲戒 弁護士に違法行為や品位に反する行為があった場合、誰でも懲戒を請求できる。懲戒は重い順に、除名▽退会命令▽業務停止▽戒告。懲戒請求された場合、まず各弁護士会の綱紀委員会が調査。懲戒の可能性があると判断した場合、懲戒委員会に審査を付し、懲戒委が懲戒の是非や処分内容を決める。綱紀委から懲戒委に審査が付される割合は10%程度とされる。