英EU離脱

林景一・前駐英大使インタビュー 「英国のEU離脱は日本の国益にも直結する問題」

林景一・前駐英大使=東京都中央区(古厩正樹撮影)
林景一・前駐英大使=東京都中央区(古厩正樹撮影)

 英国のメイ首相が、EU離脱交渉で単一市場を断念し、移民制限などで主権を回復する一方、対EU市場アクセス獲得のための包括的自由貿易協定交渉を行い、交渉が不調なら、いわゆる「ハードブレグジット」(強硬離脱)も辞さないとの姿勢を表明した。英国に投資する日本の企業や日本の国益にも直結する問題だけに注目される。昨年5月まで駐英国大使を務めた林景一氏(65)に、今後、EUを離脱する英国に日本はどう向き合っていくべきかを聞いた。(水沼啓子)

 --日本にとってEU残留のほうが良かったのか

 「それは2つの面でそういえる。日本も英国も米国の緊密な同盟国であり、いろいろな意味で立場が近い。日本も英国も大陸に隣接した島国であり、王室や皇室を抱え、伝統や経済的、政治的な構造からみても似通った立場にある国同士なので、英国と良好な関係を保つことは日本にとって重要だ。これまでEU28カ国、5億人の声を束ねるような影響力を英国は持ってきたが、そういう面を英国が失ってしまうのは日本にとっても問題だからだ。

 もう一つは有力メンバーの英国が離脱するとなれば、EU自体の力も弱まりかねない。英国は米国と同盟関係にあり、国連安全保障理事会の常任理事国でもあり、世界に幅広いネットワークを持っている。英国の離脱で、EU自体の影響力もかなり失われることになるのではないか」

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