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標高2017メートル-。東京、埼玉、山梨にまたがる東京都最高峰の雲取山は、西暦(2017年)と一致することから、登山愛好家らの間で今年一段と注目を浴びているという。もともと「日本百名山」に選定される名峰だが、北アルプスの山々に比べると地味な存在だった。関東では「高尾銀座」として名高い高尾山(東京都)を卒業した登山客の次なる目標の一つといわれ、天気がよければ山頂から関東平野を一望できる。ただし、軽視は禁物だ。観光スポットを求めるような感覚で日帰り登山できるお手軽な低山ではない。
昨年12月、雲取山人気を紹介する朝の情報番組(TBS系)があった。標高と重なる2017年がエポックな年に当たることを強調し、その魅力を伝えた。番組の中で「都心から2時間半」と説明していたが、これは「登山口」までの所用時間に過ぎない。山頂に到着するまでのコースタイムや地図や雨具、防寒具などの装備、天候・気温に関する情報についてはほとんど触れずに終わった。どう見ても、昨今の登山ブームに拍車をかけるだけの番組構成に映った。
「降雪が想定される冬季はアイゼンなどの装備は必須。危機管理上、最低限の準備や心構えについて言及しないのは問題だ。視聴者の多くは雲取山ブームに乗せられて、あたかも高尾山に行くような軽装で出かけてしまうだろう」と、登山歴40年の女性ベテラン愛好家は批判する。