燃料デブリ保管の技術確立へ 長岡技科大、福島第1原発廃炉へ研究加速

 長岡市の長岡技術科学大学は、東京電力福島第1原発事故で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)を長期にわたり安定的に保管する研究に乗り出す。保管容器内での燃焼や爆発を防ぐため、放射性廃棄物から発生する水素の濃度を抑える技術の開発を目指す。また、オーストラリア原子力科学技術機構と結んだ連携協定を基に、柏崎刈羽原発(柏崎市、刈羽村)の運営支援にも役立つとみられる教育研究を加速させる。

 福島第1原発の廃炉作業では、デブリを取り出す技術だけでなく、安全に保管するシステムの確立も課題となっている。同原発の放射性廃棄物は多量の水分を含んでおり、放射線による水分解が進めば水素と酸素が発生し、酸素に対する水素の濃度が4%以上になると爆発の危険性が高まる。

 長岡技科大の高瀬和之教授(原子力システム安全工学専攻)によると、水分を除いて放射性廃棄物を取り出すのは困難という。

 このため、研究では水素と酸素を再結合させて水に変える触媒を保管容器内に入れ、水素濃度を2%未満に抑える技術の実用化を目指す。触媒は既に開発されており、最大の効果が得られる形状などを実験で検証し、平成30年までにシステムを確立したいという。

 高瀬教授は「既存の保管容器をそのまま使える上、外部電源を必要としないのが特長。福島原発の廃炉に貢献したい」としている。

 文部科学省の廃炉加速化研究事業(28〜30年度)に採択され、初年度の今年度は2千万円の補助金を受ける。長岡技科大が研究代表を務め、他大学や日本原子力開発機構、地元企業、ダイハツ工業などと産学官共同で取り組む。

 一方、オーストラリア原子力科学技術機構との連携協定では、同機構の研究用原子炉や加速器などの活用を図るとともに、原発を運営する組織の健全性を定量的に評価する同機構の手法を取り入れたい考えだ。

 長岡技科大と同機構は17年に学術交流協定を結び、人材育成や地域貢献などの研究で連携を進めてきた。教育研究に関する協定は昨年8月に締結し、12月には同機構のゴードン・ソーログッド博士を客員教授として招いている。

 健全性の評価手法は、設計者など鍵を握る人物の流出に備えた人材育成などで、組織運営の危機回避にも役立つという。長岡技科大大学院工学研究科の末松久幸教授は「サステナビリティー(持続可能性)を強化できる」と意義を強調している。

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