58人が死亡、5人が行方不明となった平成26年9月27日の御嶽山噴火災害で、噴火前に噴火警戒レベルを引き上げず、山頂付近の地震計の故障を放置して適切な観測を行う義務を怠ったとして、長野県内外に住む5遺族が国家賠償法に基づき、国と県に総額1億5千万円の損害賠償を求める訴訟を長野地裁松本支部に起こすことが17日、分かった。原告側の弁護団が明らかにした。25日に提訴する。
訴えによると、気象庁などは噴火警戒レベルを「1」から「2」に引き上げる基準の一つとして火山性地震の回数を「1日50回以上」としていた。しかし、噴火前の9月10日に52回、翌11日に85回の火山性地震を観測したにも関わらず、当時は平常を示す「1」だった噴火警戒レベルを、山頂一帯が立ち入り規制される「2」に引き上げることを怠り、噴火で山頂一帯にいた登山者が犠牲になったとしている。
一方、長野県木曽建設事務所については、気象庁との協定に基づいて御嶽山の火山活動の一部を適切に観測する義務を負っていたが、御嶽山の2地点に設けた地震計の故障を知りながら放置したと指摘。地震計が機能していれば、噴火警戒レベルを「2」に引き上げられたとしている。