ボルボは、ブラジル・リオデジャネイロのバス高速輸送システム(BRT)向けに、世界最長級となる30mのバス「Gran Artic 300」を発表した。地下鉄を超えるキャパシティを誇る巨大バスの可能性と、米国でこの大型バスが走れない理由とは。
バスのことを少しでも気にしたことがある人なら、連節バス(アコーディオン状の連節部で車体を2つ以上つなげたバス)のことは知っているだろう。だが、ブラジル・リオデジャネイロで2016年11月に発表された世界最長級のバス「Gran Artic 300」は見たことがないはずだ。
このバスには連節部が2カ所あるが、3両編成の連節バスならすでに欧州や中南米のいくつかの都市で走っている。Gran Artic 300がほかと違うのは、全長が約30mもある点だ。30mはサッカー場の約3分の1、ボウリングレーンの約1.5倍の長さであり、野球場のホームベースと一塁間の距離より約2.4m長い。
Volvo Buses(ボルボ・バス)によると、このGran Artic 300は、一度に300人の乗客を運ぶことができるという(1平方メートルに8人を押し込む、すし詰め状態を想定してのことだが)。ちなみにニューヨークの地下鉄1車両の定員は約255人、都市を走る標準的なバス1台の定員は約55人だ。
このムカデ型バスは2017年から運行が開始される予定だが、米国で目にすることは期待しないほうがいい。その理由についてはあとで述べよう。