【野口裕之の軍事情勢】中国を警戒し始めた「太平洋国家フランス」の安全保障事情 「対中武器輸出」の蜜を棄て包囲網に加わる? (2/7ページ) - 産経ニュース

速報

速報

川井梨沙子が金 初の姉妹金メダル レスリング女子57キロ級

メインコンテンツ

野口裕之の軍事情勢

中国を警戒し始めた「太平洋国家フランス」の安全保障事情 「対中武器輸出」の蜜を棄て包囲網に加わる? 

「南国の楽園」の別の顔

 豪州の東1200キロに位置し、美しいサンゴ礁が世界遺産に登録される世界有数のリゾート地=ニューカレドニア。だが、「南国の楽園」はもう一つ別の顔を持つ。

 インマルサット(国際移動通信衛星ネットワーク)やインテルサット(商業衛星通信システム)などを傍受する世界的通信監視網のアジア太平洋地域における拠点なのだ。外交・安全保障上の盗聴は言うに及ばず、フランスの国策である兵器取引の成約を狙う産業諜報も主要任務だといわれる。《フレンシュロン》と呼ばれ、米国や英国、豪州、ニュージーランド、カナダで構成する同種の監視網《エシュロン》に比べ、性能・規模は劣るが、決して侮れぬ存在に進化しつつある。

 フレンシュロンの他、ニューカレドニアには陸・海・空軍や国家憲兵隊などで編成する《ニューカレドニア駐屯フランス軍=FANC》が陣取る。フリゲートや戦車揚陸艦、哨戒艇や巡視艇、固定翼輸送機やヘリコプターなどを配備する。兵力は2950名(2008年仏国防白書)。

 また、フランス領ポリネシアには《フランス領ポリネシア駐屯フランス軍=FAPF》が、FANCと同種の編成・装備で各諸島に散開している。兵力は2400名(08年仏国防白書)。

 フランスが国軍を本土よりはるか彼方の、例えば18000キロ以上離れた仏領ポリネシアに常駐させる理由は当然、国益に向けた戦略ゆえだが、戦略のベクトルは時代によって変化してきた。まず、大前提として仏海軍には、米海軍のように長期・常続的に遠方の戦略海域で自己完結しながら留まる能力が乏しい。