学習指導要領の改定作業が進められている。中央教育審議会の答申を受け、考える力や表現力を重視するという。
その土台となる国語力強化を忘れず、指導を進めてもらいたい。
次期学習指導要領は、小中学校について今年度中、高校は平成29年度中に文部科学省が告示する。教科書が一新される全面実施は、3年後の東京五輪・パラリンピックの年以降だが、学校の判断で先行実施することも可能だ。
気がかりなのは、早ければ30年度から小学校の5、6年生で英語が教科化されることだ。
現行では「聞く・話す」を中心に英語に親しむ「外国語活動」が週1コマ導入されている。それを3、4年生に早め、5、6年生では週2コマとなる。その指導に気を取られ、肝心の国語の授業がおろそかにされては困る。
英語ができるにこしたことはない。国際化の中で保護者などから英語習得への要望は強まっている。しかし、小学校から学べば上手に話せると考えるのは安易ではないか。教える先生の英語の実力はどうか、逆に英語嫌いを増やしかねない、など専門家の中でも反対論は根強い。
中学で学ぶ英文法が身についていれば、日常会話に十分応用できるとの指摘もある。小学校から努力しても、中学以降の教育がだめなら無駄になりかねない。
国際化というなら、何を話すかの中身が重要だ。話したいことや学ぶ目的が明確でないのに、英語で何を伝えるのか。