韓国・釜山の日本総領事館前に慰安婦像が設置されて2週間たつが、撤去される気配はない。
国家間の関係を不正常にし、日本の国民感情を損なう事態を招きながら、韓国側に是正への具体的な努力がみられないのはどうしたことか。
驚いたのは、次期大統領選に意欲を示す潘基文前国連事務総長の発言である。
慰安婦問題の日韓合意で日本が拠出した10億円をめぐり、慰安婦像は撤去しないことを前提に「金を返すべきだ」と、韓国紙のインタビューに答えた。
一昨年12月の日韓合意の際、事務総長として「合意を歓迎する」と評価した。それを忘れ、早々と反日世論に迎合しているのか。
日本は慰安婦像撤去のために10億円を払ったわけではない。そもそも、日韓合意以前の問題として反日行動の象徴である慰安婦像の設置は外国公館の安寧と尊厳を守るウィーン条約に違反する。直ちに撤去するのがあたり前だ。
韓国政府は合意時に、ソウルの日本大使館前の慰安婦像について適切な解決への努力を約束した。それも未解決のまま、新たな慰安婦像の設置を許している。
約束を守らない国家との印象を、国際社会の中で深めていることに気付かないのは残念だ。
合意は、核実験やミサイル発射を繰り返す北朝鮮の暴挙など、地域の安全保障上の懸念が高まる中で、日韓関係改善の重要性を踏まえて取り交わした。