主張

交通死亡事故減少 厳罰化の成果評価したい

 平成28年に全国で起きた交通事故の死者数は3904人だった。昭和24年以来実に67年ぶりの3千人台で、統計を開始した23年以降3番目の少なさである。最も死者数が多かった45年の1万6765人と比べると4分の1以下に減少した。

 最近の傾向で顕著なのは、飲酒運転による死亡事故の減少である。昨年は213件で、612件だった平成18年の3分の1程度に減った。これは厳罰化の効用であり、成果であると評価したい。

 道路交通法は19年、飲酒運転と飲酒検知拒否罪に対する罰則を引き上げ、車両の提供、酒類の提供、同乗行為の禁止・罰則を新設した。21年には酒気帯び運転の違反点数を引き上げるなど、行政処分も強化した。

 きっかけは、18年8月、福岡県で飲酒運転の乗用車に追突された車が海に転落し、幼児3人が亡くなった痛ましい事故だった。

 事故への同情、怒りから、厳罰化は社会に支持された。同時に飲酒運転に対する社会の目も厳しくなった。各企業も従業員の飲酒運転や事故に厳罰で臨むことが当然となり、運転者の意識も変化するきっかけとなった。

 「飲酒運転を絶対にしない、させない」は、いまや当然の約束である。だが、20年前はどうだったか。「まあ、一杯ぐらいいいじゃないか」「少し休んでから、乗ればいい」。そんな会話が蔓延(まんえん)していたのではないか。

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