安倍晋三首相が今年最初の外遊先に選んだのがフィリピンだった。ドゥテルテ比大統領との首脳会談はこの半年で既に3度目。特に今回は外国首脳として初めてドゥテルテ氏の地元・南部ミンダナオ島ダバオを訪問し、ドゥテルテ氏も温かく迎えるなど両首脳の緊密さが際だった。
首相は13日朝、昭恵夫人を伴ってダバオ市内のドゥテルテ氏の私邸を訪問し、ドゥテルテ氏らともち米を使ったフィリピンの菓子などに舌鼓を打ちながら歓談した。
ドゥテルテ氏は前日の12日、マニラで開いた晩餐会で「日本は兄弟よりも近い友人。日本は他には類を見ない友人ということだ」と挨拶した。この発言通り、ドゥテルテ氏は13日、首相を自身の寝室にも案内したほどだった。
個人的な関係を強化したいとの首相の思いに呼応するように、フィリピン側も生存が約800羽とされる国鳥「フィリピンワシ」への命名式を用意。首相は両国の交流の象徴として「Sakura(桜)」と名付けた。
わずか3回の会談で両首脳の関係構築が進んだのには伏線があった。
昨年10月に首相官邸で開かれた首相とドゥテルテ氏との少人数会談。首相はドゥテルテ氏が欧米の「上から目線」を忌み嫌っていることを念頭に「教師みたいな言い方はしない。あくまで対等な友人として話す」と話を切り出した。