ゆうゆうLife

暮らしの中で逝く ホームホスピスの場から(中)

                   ◇

 ■つながり作る民家の力

 宮崎市でスタートしたホームホスピスは全国25地域に広がり、全国ホームホスピス協会が一昨年、発足した。

 整備した基準には、「住まい」に関する規定もある。「既存住宅の活用」は要素の一つ。「生活の音とにおいがあり、人の気配が感じられること」なども挙がっている。

 既存の家を利用したのは、家庭の雰囲気を低コストで実現するためでもあった。だが、同協会理事長の市原美穂さんは今、単なる「空き家の有効利用」ではないと考えている。「地域から信頼される人が住んでいた家には、近所の人が出入りしやすい雰囲気がある。コンサートを開けば大勢が集まる。地域の信頼を蓄えた『家』を使うことに意味がある」と言う。

 基準には「とも暮らし」の規定もある。5、6人の共同生活であること以外に、「家族同士も交流がある」「ただいま、お帰り、行ってらっしゃい、などのあいさつが、住人、家族、スタッフ間で交わされる」などと記される。

 家族のいない人に疑似家族ができる一方で、頻繁に通う家族同士には共感が生まれる。親をみている者同士で話が弾み、一緒に昼食に出かけていくことも。通うことで家族も癒やされていく。

 そうさせるのは、空間の力でもある。市原さんは「リビングの真ん中にテーブルがあるから、『座りましょう』とか『大丈夫?』と声をかけ合える。お日さまが当たるから、『日なたぼっこをしましょう』になる。家というのは、そういうもの。そういう空間を作れるかどうかがすごく重要です」と話している。