政府が今月20日召集の通常国会に提出する農業改革関連法案の全容が8日、分かった。資材価格の引き下げを図るため資材メーカーの再編・新規参入を促す農業競争力強化支援法案や、輸出強化に向け農産物認証のあり方を見直す法改正など計7本。昨年11月に農林水産業・地域の活力創造本部(本部長・安倍晋三首相)がまとめた農業の体質改善と「稼ぐ農業」への転換の具体化を目指す。
政府は農産物の輸出拡大を含む成長戦略の要として環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を位置付け、先の臨時国会で承認された。ただ、トランプ次期米大統領はTPPからの離脱を宣言。TPPの漂流は確実な情勢だが、これとは別に農業改革関連法案の成立で改革を進める考えだ。
農業改革をめぐっては政府・自民党が昨年11月、農産物の販売や生産資材の供給で全国農家に絶大な影響力を持つ全国農業協同組合連合会(JA全農)の組織刷新を求める改革案を決定した。7本の法案に盛り込まれた施策は全農への強制力は持たないが、農業のあり方を抜本的に見直す内容で、改革に抵抗する全農の外堀を埋める意味もある。
中国は高い成長が続くアジアで農業輸出を拡大しており、農業の国際競争力向上は喫緊の課題だ。農業競争力強化支援法案は、資材メーカーや流通加工業の再編・新規参入を促すため資金面の支援も行う。合理化の阻害要因となっている農業機械化促進法と主要農作物種子法は廃止する。