主張

東京五輪 今年は胸躍るニュースを

あれからすでに3年4カ月が経過した。2020年東京五輪・パラリンピックの開催が決まった直後の胸の高鳴りを、どれほどの国民が覚えているだろうか。

大会組織委員会は総経費を1兆6千億〜1兆8千億円とする予算計画を示した。さらなるコストの削減に取り組むのは当然だが、東京都や組織委には今年こそ、都民や国民が前向きになれるニュースを発信してもらいたい。五輪の開会式は、3年半後に迫っている。

大会経費は一時、2兆円超とも3兆円超とも見積もられ、際限ない膨張が危惧された。削減の努力は評価していい。

ただ議論の重心が「安く済ませる」ことに偏ったのは、「なぜ東京で2度目の五輪を開くのか」という開催意義の発信を、都や組織委が怠ったツケといえる。

自国開催の五輪で表彰台に立つ日本選手の姿は、社会に活気を、子供たちには夢を与えてくれるだろう。少子高齢化が進む中、健康づくりの手段としてもスポーツへの期待は大きい。将来の五輪招致を目指す都市の模範となるには、東京大会がそのモデルを示さなければならない。

五輪を引き寄せたのは、日本の招致関係者が訴えた「スポーツの力」が、国際オリンピック委員会(IOC)の理解を得たからだ。招致決定後の3年間で選手強化費の大幅な拡充が進んだのは、国民の期待感の表れでもある。

組織委が調達する民間資金は約5千億円で、大会経費の残り1兆円余りは公費負担になる。都民や国民の理解を得るためにも、東京五輪の開催意義をいま一度、強く発信するときだ。

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