アベノミクスが本格的に始まって以来、改善速度はめざましく、昨年9月にはマイナス2・2%台まで上昇した。グラフで一目瞭然、名目GDPの伸びとの相関度合いは極めて高い。名目GDPという経済のパイが大きくなるにつれて、財政が健全化している様子がわかる。
理由は簡単だ。経済成長すれば、その分、税収が増える。成長率がさほど高くなくても、異次元金融緩和を受けた円安で法人税収が増えるし、株高に伴う資産効果で公的年金などの資金収支がよくなる。26年度の消費税率引き上げ後は名目成長率がゼロ%台に落ち込んだまま推移している。その結果、28年度の税収は減少に転じ、資金収支の改善に悪影響が出そうだ。
円安・株高は増税や財政の緊縮によるマイナス効果をかなり小さくするのだが、円高・株安になると負の効果は増幅されるリスクが生じる。