現在の日韓関係を大まかにいえば、朴槿恵(パク・クネ)大統領をめぐるスキャンダルが慰安婦問題の蒸し返しに形を変えて、日本の安全保障を揺るがそうとしている、といったところだろうか。
釜山の日本総領事館近くの歩道に慰安婦像が建立、除幕された昨年末から新春にかけての韓国内の動きを見て、そう思わされた。
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昨年秋に発覚した崔順実(チェ・スンシル)被告による国政介入事件をきっかけとして、朴槿恵政権打倒を掲げた大規模デモが起きた。朴氏の身から出たさびではあるが、スキャンダルに付け入った勢力は主催者発表で「100万人」規模となった「国民の声」を背景に、ついに国会での朴氏の弾劾を可決させた。ここまでは、韓国の内政問題である。
問題はここからだ。デモの中核には韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)がいた。挺対協はソウルの日本大使館前に慰安婦像を設置した団体である。
像が設置された翌年の2012(平成24)年8月15日、筆者はそこで異様な光景を目にした。
その日、日本大使館前には警察当局の推計で約1300人が集結。仮設された演壇に「朝鮮日本軍性的奴隷および強制連行被害者補償対策委員会(朝対委)」という聞き慣れない団体の代理人が立っていた。