古森義久の緯度経度

トランプ次期大統領VS中国の行方は? オバマ否定と同様に常軌逸した封じ込めも…

 台湾の蔡英文総統との電話会談、「一つの中国」原則の破棄をも示す予想外の言明、中国を抑止する軍事力増強の再確認、対中強硬派の人物たちの新政権要職への登用…などの措置は一定方向への明白な歩みを見せつけた。「トランプ氏は未経験だから見識もない」という観測は対中政策に関する限りしぼんでいった。

 トランプ新政権の対中政策を占う最有力の材料はトランプ陣営政策顧問のアレックス・グレイ、ピーター・ナバロ両氏の共同論文だろう。グレイ氏は議会補佐官として中国を専門とし、ナバロ氏も米中戦争についての著作で知られ、トランプ政権の国家通商会議の委員長に任命された。

 両氏が連名で昨年11月に発表した論文は「ドナルド・トランプのアジア太平洋への『力による平和』ビジョン」と題され、オバマ政権の「アジア・ピボット(旋回)」策は中国の軍事的な膨張を放置したため失敗したと断じていた。そのためトランプ新政権のアジア政策の要は中国の軍事冒険主義をまず米側の軍事力増強で抑止することを主唱する。

 同論文は「アジアの自由主義的秩序を保つためには中国の軍事覇権を抑える力の実効が欠かせない」としてトランプ氏がすでに発表した米艦艇の274隻から350隻へ、海兵隊の18万から20万への増強がいずれもアジア主体であることを強調していた。