都市を生きる建築(84)

竣工90年、現役最古の都道府県庁舎…大正時代建築の前衛的デザイン「大阪府庁本館」

【都市を生きる建築(84)】竣工90年、現役最古の都道府県庁舎…大正時代建築の前衛的デザイン「大阪府庁本館」
【都市を生きる建築(84)】竣工90年、現役最古の都道府県庁舎…大正時代建築の前衛的デザイン「大阪府庁本館」
その他の写真を見る (1/2枚)

 大阪城公園の西に面して建つ大阪府庁本館は、昨年2016(平成28)年に竣工(しゅんこう)から90周年を迎えた、現役としては最古の都道府県庁舎だ。その記念すべき年に、地下に免震装置を設ける耐震工事を含めた、本館東部分の4年にわたる大規模な改修工事が完成した。12月には、コンサートなどの記念イベントが催された。

 1926(大正15)年に完成した大阪府庁舎は、平林金吾と岡本馨という若手コンビの設計案がコンペによって選ばれた。戦前までの都道府県庁舎といえば、中央に塔やドームを戴(いただ)き巨大な列柱を配した西洋の古典様式や、瓦の大屋根をかけた和洋折衷のいわゆる帝冠様式など、行政府としての権威性を強く象徴する歴史様式の強いデザインが用いられてきた。

 だが、若い感性は20世紀初頭のヨーロッパで広まっていた、セセッションと呼ばれる新時代の新しい潮流を取り入れ、正面玄関まわり以外は一切の装飾を排し、直線による幾何学的なデザインで外観をまとめあげた。そのオフィスビル然とした佇(たたず)まいからだろう、これまで歴史的建築としての一般の関心は今ひとつだったが、日本の都道府県庁舎に詳しい近代建築史家の石田潤一郎教授は「世界的に見ても早い時期に、(中略)モニュメンタルな公共建築で、ここまで前衛的なデザインがなされたことはたいへん珍しい」と、非常に高い評価を与えている。