「北朝鮮経済史」を読む

創氏改名は「朝鮮が希望、日本は反対」 「左翼」が作った北朝鮮史は欺瞞に満ちていた…

朝鮮半島の近現代史を扱う書籍は多いが、データに基づく『北朝鮮経済史 1910-60』(下)は貴重な存在
朝鮮半島の近現代史を扱う書籍は多いが、データに基づく『北朝鮮経済史 1910-60』(下)は貴重な存在

 平成28年11月、知泉書館(東京都文京区)という学術専門出版社から『北朝鮮経済史 1910-60』が出版された。約150ページの書籍。日韓併合から敗戦による南北分断、朝鮮戦争(50~53年)、「千里馬(チョンリマ)運動」などにより社会主義国家・北朝鮮が大躍進を遂げたとされる時代の経済史だ。日本統治時代のデータと旧ソ連にあった北朝鮮の公式データなどを付き合わせることで、日本における北朝鮮をめぐる近現代研究が、いかに欺瞞(ぎまん)に満ちていたかを指摘している。(文化部 村島有紀)

 初版わずか800部。著者の木村光彦・青山学院大教授は、ソ連の崩壊後、ロシア公文書館で公開された1946~65年の北朝鮮に関する資料を翻訳し、6年前に『旧ソ連の北朝鮮経済資料集』を出版した経済学者だ。編集担当の小山光夫さんは「北朝鮮の情報を資料に基づいた研究をしている人は日本では木村さんだけ。その木村さんが間違いがないとする範囲で初めて出版した通史」と出版意義を強調。裏表紙には《半世紀にわたる北朝鮮の経済史を膨大なデータを活用して考察し、はじめてその実相を明らかにした画期的な概説書》と喧伝する。

 本書の主なデータは、戦前は、朝鮮総督府の統計年報、戦後は北朝鮮や旧ソ連の経済資料などに依拠している。木村教授はもともと、アジアの開発経済が出発点。マクロとミクロ双方の視点から、データを基にコツコツと北朝鮮経済を研究するが、「本に書いたことがすべて」という。

 そこで、代わりに木村教授との共著『北朝鮮の軍事工業化』がある、元通産省技官で、日本統治時代の北朝鮮の産業遺産に詳しい安部桂司さん(77)=ペンネーム、安部南牛=に、『北朝鮮経済史-』とその時代背景について、解説してもらった。