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脱水症状は夏だけでなく冬にも起こる。外気が乾燥しているうえ、暖房器具によって室内の乾燥も進み、体の中の水分が失われていくためだ。命に関わることもあるため、体の「黄信号」を見過ごしがちな高齢者は特に注意が必要だ。(櫛田寿宏)
「まさか冬に熱中症なんて。本当に驚きました」
東京都内に住む60代の会社員の男性は昨年11月、軽度の熱中症と診断された。コートを着たまま水分を取らず約2時間、車を運転。車内は暖房が効いていたが、「少し暑いな」と感じる程度だったという。帰宅後に手が震え、頭痛がひどくなったため、近所のクリニックを受診した。「運転中に異変はなく、まったく気がつかなかった」と男性は振り返る。
冬でも脱水症状が進行して熱中症になるケースはある。東京消防庁によると、熱中症とみられる症状で病院に搬送された人は、平成27年11月〜28年4月の半年で42人に上る。
◆果物で水分補給を
人は1日に発汗と呼吸により0・7〜1リットル、尿として1〜1・5リットルの水分を排出している。脱水は体内に必要な水分量を、排出する水分量が上回ったときに起きる。水分と一緒に、細胞や臓器の機能を維持するために欠かせない電解質も失われる。