正論

年頭にあたり 恵まれた国、未来志向の若者…大いなる楽観が将来を開く 日本財団会長・笹川陽平

 しかし事態は、先の見えない混乱が続く中東は別にしても、移民問題などで「極右」勢力が台頭する欧州連合(EU)や大統領選で世論が大きく割れた米国などの方がはるかに深刻である。

≪内向きと決めつけるのは早い≫

 だから日本の未来の方が明るいと言うのではない。私が、わが国の未来に希望を持つのは、近年の若者世代の新たな変化に期待してのことだ。厚生労働省の調査によると、大卒者の就労3年以内の離職率は3割にも上っている。

 仕事で全国各地を回り、ボランティア活動などに取り組む若者と話すと「普通に生活できるのであれば、社会に役立っていると実感できる仕事にかわりたい」と語る若者が驚くほど増えているのを実感する。「一流大学を出て一流会社に就職する」といった若者の価値観は確実に変化し始めている。

 昨年9月に都内で開催した「ソーシャルイノベーションフォーラム」にも全国から2千人を超す若者が詰め掛け、人口減少など、この国の将来について3日間にわたり熱い議論を行った。

 自民党青年局長を務めた小泉進次郎衆院議員も出席、「悲観的な考えしか持てない人口1億2千万人の国より、将来を楽観し自信に満ちた人口6千万人の国の方が、成功事例を生み出せるのではないか」と語り、会場から拍手が起きた。

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