正論

年頭にあたり 恵まれた国、未来志向の若者…大いなる楽観が将来を開く 日本財団会長・笹川陽平

日本財団会長・笹川陽平氏(栗橋隆悦撮影)
日本財団会長・笹川陽平氏(栗橋隆悦撮影)

≪確実に増える未来志向の若者≫

 私はかねて、日本の現状や将来を悲観的に見る知識人の考えに疑問を持ってきた。多くの課題を抱えているとはいえ、日本は世界で最も豊かで安定した国であり、何よりも素晴らしい未来志向を持った若者が確実に増えてきているからだ。

 確かに現状では、将来を悲観的に見る若者の方が圧倒的に多い。内閣府が2013年、日本を含めた7カ国の13~29歳の男女を対象に行った意識調査でも、自分の将来に「希望がある」と答えた日本の若者はわずかに12・2%。2番目に低かったフランスの半分、最も高かった米国の4分の1以下で、「どちらかといえば希望がある」を加えた数字も各国と20~30ポイントの開きがあった。

 背景には少子高齢化や地方の過疎化、国債や借入金など国内総生産(GDP)の約2倍、1050兆円にも上る国の借金など不安要因の増加がある。毎年1兆円近い社会保障費の膨張が年金や医療制度の将来に不安を投げ掛けている点も見逃せない。

 世界の富の半分をわずか1%の富裕層が独占するとされる中、「平等社会」といわれた日本でも格差は拡大傾向にあり、われわれが行った調査では子供の6人に1人が貧困状態にあり、このまま放置した場合、生涯の社会的損失は42兆円に上ると推計されている。

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