北方領土のインフラ整備減速 10カ年計画、中央が財政難で支出延期

 【モスクワ=遠藤良介】ロシアが実効支配する北方領土のインフラ整備が、今年は財政難により大きく減速する見通しとなった。2016〜25年に700億ルーブル(約1355億円)を投じるとしているクリール諸島(北方領土と千島列島)の「社会・経済発展計画」について、露中央政府が17〜19年分の支出を先送りする方針を示したからだ。ロシアは北方領土における日本との「共同経済活動」を急いでおり、深刻化する財政難がその背景にあるとみられる。

 現行の「計画」はソ連崩壊後で3回目となる。16〜25年に中央政府が279億ルーブル、北方四島を事実上管轄するサハリン(樺太)州が317億ルーブルを支出し、インフラ整備や産業育成を加速させる内容だ。人口を現在の約1万7000人から2万4300人に増やし、地元の税収を倍増させることなどがうたわれている。

 しかし、地元メディアによると、中央政府は「計画」にかかわる19年までの支出を、基本的に20年以降に延期する方針をサハリン州に伝えた。当面は「事実上の州単独計画」(地元高官)として、着工済み事業の継続が中心となる。07〜15年の前回計画では択捉島の新空港建設など大型事業が注目されたが、今回は出足からつまずいた形だ。