【石野伸子の読み直し浪花女】野坂昭如のウソとマコト(1)ジブリのアニメ『火垂るの墓』餓死した妹「嘘…重荷、実録で書けない」(3/4ページ) - 産経ニュース

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野坂昭如のウソとマコト(1)ジブリのアニメ『火垂るの墓』餓死した妹「嘘…重荷、実録で書けない」

 「火垂るの墓」では4歳に設定されている妹は、実際にはこのとき1歳4カ月だった。妹も養女で血はつながっていないが、小さな妹をかばいながら焼跡をさまよった体験は本物だ。

 野坂は「火垂るの墓」とほぼ同時期、当時のことを実録風に書いた「プレイボーイの子守唄」という文章を発表している。空腹で泣き止まない妹の頭を殴りつけたら泣き止んだこと、後にそれは「脳しんとうを起こして気を失っていただけ」と医師に聞かされ絶句したことなど、20年以上たってもまだ重い戦争体験を生々しくつづり、婦人公論読者賞を受賞した。

 野坂はこの文章ですでに「妹思いの兄」の仮面ははぎとっている。

 では言いよどんでいるのは何か。それは後に書かれた文章を読めば明らか。「戦災孤児」のくだりだ。