国際情勢分析

高額紙幣廃止を受けたインドの「資金洗浄」 両替商が語る驚きの手口

 旧高額紙幣の廃止を実施前夜に突然、発表したモディ首相。当初は首相の腐敗対策を支持していた市民の中にも、長引く現金不足に不満を募らせる者が目立ち始めた。政府は、あらゆる抜け穴をふさいでブラックマネーを摘発すると強調し、捜査当局に発破をかけているが、問題はどれだけの不正蓄財がきちんと摘発できるかだ。

 インド紙ビジネス・スタンダードによると、当局が昨年度中に捜査した事案は669件で、この間に下った有罪判決は34件にすぎない。政府は税務当局の人員を増員し、不正摘発を急いでいるものの、同紙は「熟練した人員と大量のデータの解析が欠落している」と指摘している。政府は有権者の理解を得るため、大きな試練に直面しているといえそうだ。

(ニューデリー 岩田智雄)

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