インドでは、現在、銀行1口座についての預金引き出し額は1週間に最大、当座預金で5万ルピー、普通預金で2万4000ルピーに限られている。両替商はどうやってこれほどの新札を入手したのか。
その手口を両替商は、「銀行にコネがあるからできる。銀行内部の知人に50人分の身分証明書を見せれば、その本人がいなくても、1人について一度に1万ルピーまで新札をおろすことができる」と打ち明けた。
今回の旧高額紙幣の廃止の目的はブラックマネーのあぶり出しにある。市民は、手持ちの旧紙幣を使用することは原則的にできないが、銀行口座に預けることはできる。25万ルピーを超えるなど多額になると、不正蓄財が疑われ、捜査対象となる仕組みだ。
だが、両替商は、何人もの他人の口座に手持ちの旧紙幣を分散させて預金し、新紙幣を少しずつ引き出すやり方で、大量の資金洗浄を可能にしていた。
「観光に来た外国人はみな、現金が手に入らず困っている。絶望的な状況で外国人はATM(現金自動預払機)の前の列に並び、貴重な時間を無駄にしようとしている。私は外国人から手数料をもらって、銀行からお金を引き出してやっている。それが私の仕事だし、なぜ、そのために銀行のコネを使ってはいけないというのか。何の法律にも違反していない。銀行だって、これでもうけている」とうそぶいた。