産経抄

「信」の一字に貫かれた日本であってほしい 1月1日

 明けましておめでとうございます。東の空が曙光(しょこう)に白み、富士の高嶺(たかね)が朱に焼ける。天気が予報の通りなら、元旦にふさわしい佳景が読者諸氏の眼福となったことであろう。鶏鳴とともに、平成29年が幕を開けた。

 ▼鶏に「五徳」ありと中国・前漢の人、韓嬰(かんえい)は書いている。とさかは「文」、蹴爪は「武」の証しである。敵を前にして「勇」の気を奮い、餌があれば「仁」に厚く仲間を呼ぶ。時刻を違えぬ鶏鳴をして「夜を守り時を失はず」と賛美した。この物堅さは「信」だと。

 ▼「信なくば立たず」は孔子の言葉だが、とりわけ時間への誠実さを示して世界の信頼を勝ち得てきたのは、日本人だった。家畜として人とよしみが長いニワトリたちは、律義な遺伝子の配達先に迷ったろう。かの国ではなく、わが国を選んでくれたのはありがたい。

 ▼「申酉(さるとり)騒ぐ」の格言に違わず、昨年は明けてすぐ中国ショックに市場が揺れた。暮れは「トランプ相場」の活況に沸いた。不確実の化身ともいえるトランプ氏は、まもなく米大統領の座に就く。果たして同盟の相手に「信」はありや。何かと気ぜわしい年始である。

会員限定記事会員サービス詳細