「来た!と思いましたね。スコセッシ監督は、この作品の映画化を30年近くもあきらめずに実現させた。僕のエネルギーだって、きちんと受け止めてくれる人だと分かっていました」
通辞は、ロドリゴに対し、キリスト教は日本に合わない思想であり、信徒たちを救うためなら神を否定しても構わないではないか、と訴える。
「単なる悪人ではない。もともと信徒だった人物で、ロドリゴに対し、『まずは俺を説得してみろ。それができなければ説得になっていない』という思いがある。脚本を読んでいて、とても面白かったです」
巨匠・スコセッシ監督の撮影現場は印象深いものだった。
「僕の演技を、目の前でじいっと見ている。目と鼻の先で、もう、『すごいですね』って言いたくなるくらい、のめり込んで見てくれる(笑)。そして、演技に反応して、楽しんでくれているのが分かるんですよ」
浅野の目からは、ガーフィールドとニーソンのハリウッド俳優はどう見えたのだろうか。
「アンドリューはロドリゴの役に非常に集中していましたね。ロドリゴに成り切って、混乱していました。リーアムは遠い異国で棄教した宣教師役を、客観的に演じている様子でした」