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「タクシードライバー」などで知られ、2016年の世界文化賞を受賞したマーティン・スコセッシ監督の新作「沈黙 サイレンス」(1月21日公開)。浅野忠信(43)がポルトガル人宣教師に棄教を迫る通辞(通訳)役で異彩を放っている。浅野は撮影を振り返り、「とにかく強烈で面白い体験だった」と満面の笑顔で語る。(文化部 岡本耕治)
江戸時代初期。宣教師のロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)は、師のフェレイラ(リーアム・ニーソン)が、厳しいキリシタン弾圧を行う日本に潜入後に棄教したと聞く。衝撃を受けたロドリゴは、ひそかに日本に上陸するが、まもなく捕えられてしまう。役人らは、日本人信徒に拷問を加え、彼らを救うために棄教せよと迫る…。
原作は遠藤周作の名作「沈黙」。浅野は日本でスコセッシ監督が行ったオーディションが忘れられない。
「僕は別の役のオーディションを受けていた。普通は事務的に行われるものだけど、このときは違った。スコセッシ監督が僕の相手役をしてくれたんです。僕の演技を熱心に見て、『次はこうしてみよう』と演出までし始めた。充実した撮影を1日やったみたいな、素晴らしい時間でした」
この役での起用はかなわなかったが、浅野は「あの時間を忘れられない。あきらめたくない、と強く思った」という。そして、数カ月後、新たに通辞役のオーディションが行われ、浅野は見事に射止めた。