清国側の主張は現在中国のメディアが主張している内容と全く同じである。それに比べて、明治時代の政府の見解は現在の政府見解とはあまりにも乖離が大きい。今後、政府が先に紹介した山田宏議員の質問に応えて、明治時代と連続性のある沖縄の歴史認識を発表することを期待したい。
沖縄問題の根底にはいつも「沖縄は日本の被害者」だという意識がある。沖縄の学校では一六〇九年の薩摩侵攻、一八七九年の琉球処分と二度日本に侵略され、一九四五年の沖縄戦で日本の捨て石になったと教えられている。沖縄の歴史は簡単に反日勢力にのっとられ、中国の沖縄侵略に利用されてしまっているのであるが、その原因は政府や政治家が日本の国家形成のプロセスで沖縄がどのように日本と一体化してきたのか? つまり民族統合のプロセスを説明出来るだけの国家観が無いからである。
沖縄県民は日本人である。そうであるなら、薩摩侵攻は戦国時代の延長にある国家統一の戦争であり、沖縄県設置は、近代国家建設のための国内の措置である。侵略でも差別でもない。
沖縄問題は沖縄だけの問題ではない。筆者は、日本の国家形成の歴史、日本民族統一の歴史に、沖縄をしっかり組み込むことができるかどうかに日本の未来はかかっていると確信している。中国が仕掛けている沖縄の歴史戦は、日本最大の危機であると同時に、日本再建のチャンスでもある。沖縄問題こそ日本民族の団結力を発揮すべき戦いである。
仲村覚氏 昭和39年、那覇市生まれ。埼玉県在住。昭和54年、陸上自衛隊少年工科学校(横須賀)入校、卒業後航空部隊に配属。平成3年退官。企業勤務を経て21年、日本が沖縄から中国の植民地になるという強い危機感から市民団体を立ち上げ活動中。共著に『そうだったのか「沖縄!」』(示現社)など。
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