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バツイチならぬ「没イチ」 そうなった時の新しい生き方を考えよう

配偶者を亡くし、1人で過ごすことに不安を感じる人も多い(イメージ写真)
配偶者を亡くし、1人で過ごすことに不安を感じる人も多い(イメージ写真)

 「突然妻が亡くなり、毎日何をして過ごせばいいのかわからない…」

 長年連れ添った配偶者に先立たれたとき、こうした思いを抱えて悩む人が少なくない。最近では、配偶者を亡くした人のことを指す「没イチ」という言葉も生まれ、新たな生き方を模索する活動が広がっている。

突然の自由時間

 「いままで、出かけるときはほとんど妻と一緒でした。まさか、自分が一人になるとは思わなくて、戸惑う毎日です」

 東京都内で独り暮らしをする無職の男性(72)は、6年前に妻=当時(66)=を亡くした。

 勤めていた会社を退職し、これから夫婦でいろいろなところへ旅行に出かけようと楽しみにしていた矢先で、「一人で過ごす時間が、これほど長く感じるとは思わなかった」と男性。

 家事もほとんど妻任せだったため、「最初のころは生活をすることも大変だった。周囲から『大変ね』と声をかけられるのも辛くて、どんどん落ち込む一方でした」と振り返る。

 現在、男性は少しずつ外出する機会を増やし、高齢者が多く通う地域の公開講座などにも足を伸ばすように。そこで同じ「没イチ」の仲間と出会えたことで、「素直に悩みを話せる仲間に救われた。寂しいこともあるけれど、少しずつ自分が楽しむ時間も増やせるようになりました」と話す。

それは、ある日突然に

 離婚経験者や独身経験者と異なり、『没イチ』になる日は突然訪れることも特徴だ。

 第一生命経済研究所の主任研究員、小谷みどりさんは「離婚という選択を経て一人になるのと、突然残されるのでは心の持ちようが全く違う。今一緒に過ごしている夫婦でも、いつかは必ず『没イチ』になるので、いかにその時を想定しておけるかがポイントです」と強調する。

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