米大統領選サイバー攻撃

プーチン氏、トランプ流「ディール」で対処できない現実突き付ける

 【ワシントン=加納宏幸】ロシアの関与が疑われいる米大統領選へのサイバー攻撃は、オバマ米大統領、トランプ次期大統領に対し、ロシアのプーチン大統領が経済上の利害だけではない主権意識をもとに行動している現実を突き付けた。トランプ氏は経済面での「ディール」(取引)を中心に、オバマ政権で悪化した米露関係の改善に動こうとしているが、融和路線の再考を迫られている。

 トランプ氏は29日、オバマ政権による対露制裁の実施を受けて、「米国は今、より大きな課題に移行する時期だ。しかし、米国や国民の利益のため来週、米情報機関から最新情報の報告を受けることにしている」との声明を発表した。

 次期米大統領は中央情報局(CIA)などの情報機関から定期的に説明を聞いて就任に備えることが慣例になっているが、トランプ氏はこれまで数回しか説明を受けてこなかった。オバマ政権がプーチン政権のサイバー攻撃への関与を強調しても懐疑的な見方を示し続けてきただけに、声明はロシアの行動に対する危機感を表明したといえる。

 オバマ政権は当初、ロシアのメドベージェフ政権との間で米露関係を改善する「ロシア・リセット」路線を敷いた。しかし、プーチン氏が再登板すると関係は悪化。2014年のロシアによるウクライナ南部クリミア半島併合により米露対立が決定的になった。米国は欧州、日本などとともに「プーチン氏の行動様式を変える」として経済制裁の包囲網を構築したものの決定的な効果はなかった。

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