産経抄

「昭和の常識」に絶望した電通の新人社員、高橋まつりさん 12月30日

 ロンドン五輪で、柔道男子は金メダルゼロの惨敗を喫した。選手が練習をサボっていたわけではない。むしろ合宿や試合は、多すぎるほどだった。その結果心も体もボロボロになり、本番に万全の態勢で臨めなかったことが原因とされた。

 ▼やがて、指導陣の女子選手へのパワーハラスメントが発覚する。危機に瀕(ひん)した柔道界は、新体制のもとで練習方法を見直した。リオデジャネイロ五輪で過去最多のメダルを獲得したのは、周知の通りである。それに比べてビジネス界では、いまだに多すぎる労働時間を是とする文化が生き残っている。

 ▼広告大手、電通の新人社員、高橋まつりさんが過労自殺に追い込まれてから、1年が過ぎた。長時間労働問題は、石井直(ただし)社長の辞任表明にまで発展した。高橋さんの残業は月130時間を超え、徹夜に近い勤務も続いていた。

 ▼問題は労働時間の長さだけではない。亡くなる直前には、業務に関係のない忘年会の準備にまで駆り出されている。男性上司からは、「女子力がない」などと、言葉の暴力も受けていた。

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