絶てない虐待(下)

「こんな子供いたかな」懸念される隠れた虐待 根本解決にはまず、両親の生活の「下支え」が重要

 近畿都市部の児童相談所(児相)での勤務経験がある丸山隆さん=仮名=は、どれほどの表面化しない虐待があるのかと思い悩む日々を送る。

 数年前の秋口、ある住民が夜更けの住宅街を1人歩く幼い少女を見かけた。「こんな子供いたかな」。何げなく後をつけていくと、アパートの一室に消えた。

 地元の小学校に問い合わせたが該当する子供はいない。住民は虐待を疑い、学校を通じ児相に通告。対応した丸山さんはアパートの大家に尋ねたが「子供が一緒にいるとは聞いていない」。部屋にも直接訪問したが応答は一切なかった。

 連絡を取りたいと手紙を何度もドアに挟んだが、これにも反応はない。《このままでは子供を保護するとともに罰金が科せられる》。この文句を添えると、ようやく連絡があった。

 「子供は大丈夫だ」。両親は訴えるが、室内はゴミが散乱し、床にはゴキブリがはっていた。少女も薄汚れており、明らかなネグレクト(育児放棄)だ。聞けばギャンブルで借金を抱えて夜逃げしてきたため、できるだけ人目につかないようにゴミも出さず、外出も避けていたという。

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