主張

ノロウイルス 手を洗い水分補給しよう

 年末年始の休暇を控えて、体調の変化に注意したい。

 医療機関の診療体制も手薄になるので、感染症の予防にも普段以上に気を配る必要がある。

 今年はインフルエンザの流行が例年より早く始まり、著名なスポーツ選手の発症も伝えられた。ノロウイルス感染を主な原因とする感染性胃腸炎の流行も例年以上に拡大している。

 どちらも予防には、せっけんでよく手を洗うことが有効だ。初歩的なようでも、こまめにできることは実行していきたい。

 ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎は、厚生労働省が全国3000の小児科医療機関からの患者報告で流行状況を把握している。直近のデータでは、18日までの1週間の報告数が1医療機関当たり20・89人で、大流行といわれた平成24年を上回った。

 ノロウイルスは、感染すると1日か2日で下痢や嘔吐(おうと)、激しい腹痛に襲われ、数日でおさまる。感染した人すべてに激しい症状が表れるわけではないが、侮ることはできない。

 お年寄りや乳幼児、慢性の持病がある人は、脱水症状で生命に関わることもあるので、本人だけでなく周囲も、食品を扱う際の手洗いなどは丁寧に行い、感染を防ぐよう心がけてほしい。

 冬休みに入り保育園や幼稚園、小学校での集団感染は止まるが、家庭で広がることもある。

 この時期はとくにお年寄りに気を配りたい。予防は大切だが、それでも感染することはある。

 その場合は安静と水分補給が大切になる。特効薬はないので、医療機関を探し回るより、水分をこまめに補給して脱水症状を防ぎ、休養を取ることを考えた方がよさそうだ。少し塩分の入った経口補水液やスポーツドリンクを冷やさずに少量ずつ、時間をかけて飲めば、おなかにやさしく有効だ。

 年末には恒例の餅つきを中止するというニュースも伝えられた。熟慮の末の判断なのだろうが、感染症の専門家によると、必ずしもやめる必要はなかったという。

 食品を手で扱う機会は、餅つきのような行事に限定されたものではなく、生活の中にいくらでもある。季節の行事で楽しい時間を共有しつつ、感染を防ぐ方法を具体的に説明し、見本を示す。そんな機会として生かす方法も考えられるからだ。

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