年初に「申酉(さるとり)騒ぐ」と書いた。相場の世界の格言で、申年と酉年は株価の上下が激しく、値動きの荒い年になるという。確かに申年の今年は、中国経済の減速懸念で大発会から過去2番目の下げ幅で明け、6月末には英国のEU離脱ショックで日経平均株価は1万5千円を割った。
▶さらに11月には、米大統領選でトランプ氏が当選し、世界を驚かせた。直後に株価は急落したが、すぐに持ち直し、年初を上回る1万9千円台で終わろうとしている。株高は望ましいが、景気がよくなっている実感はあまりない。さて、酉年も「騒ぐ」のだろうか。すべてはトランプ新大統領次第である。
▶「米国第一」で保護主義に走れば、日本も荒波をかぶる。経済だけではない。在日米軍撤退や駐留経費の負担増など日米同盟の根幹に関わる発言をしていた。安倍晋三首相は真珠湾で「寛容の心」と「和解の力」をアピールしたが、「希望の同盟」が過去の物語にならないことを願う。