怪獣「ゴジラ」とゆかりの深い伊豆大島(東京都大島町)で、町の「シン・ゴジラ」像設置計画に一部の町民から反発が出ていた問題で、三辻(みつじ)利弘町長は27日、臨時議会を招集し、計画を断念することを表明した。報道で島の内外に計画が広く伝わったことや、人口の4分の1を超える反対署名が集まったことなどを理由に挙げた。
三辻町長は「反対署名運動と、それに伴うマスコミ報道などで島の混乱を招く結果となり対応を検討した」と説明。「地元で歓迎の総意が得られていない現状を憂慮した東宝から計画見直しの申し入れがあり、協議の結果、町として断念することにした」と述べた。町は近くシン・ゴジラの版権を所有する東宝側と契約する予定だった。
町が議会に提出した資料によると、シン・ゴジラ像は高さ約10メートル、重さ約24トンで、伊豆大島火山博物館の敷地内に設置する計画だった。事業費は当初約9千万円だったが、その後、霧の噴出装置や照明、音響設備費などに約1億円を追加計上。11月の臨時議会で可決されたものの、事業費が当初の倍以上になったため疑問視する声が上がり、人口(約7800人)の4分の1を超える約2400人の反対署名が集まっていた。
東宝は「大島町が全土を挙げての歓迎という状況にはなっていないという現状があり、そういう中で計画を続けるべきかと、見直しの申し入れをさせていただいた」としている。
三辻町長は臨時議会終了後、記者団の取材に応じ、「島の混乱を招いたのは私の責任だ」と述べ、「事業費の増額にあたり、(住民への)周知が不十分だった」と話した。