浪速風

気前のいいパトロンはいないか

第1回アテネ五輪は、財政難のためギリシャ政府が難色を示した。しかし、クーベルタンは古代オリンピック発祥の地での開催にこだわった。コンスタンティヌス皇太子が外国で活躍するギリシャ人に支援を求める手紙を送り、豪商ゲオルギオス・アベロフが100万ドラクマを寄付した。

▶それで6万8千人を収容する大理石のパナシナイコ競技場を建設したというから、いかに巨額だったかがわかる。スタジアムの脇にアベロフの像がある。2020年東京五輪・パラリンピックは総額1兆6千億〜1兆8千億円と試算されるが、アベロフのような気前のいいパトロンは期待できない。

▶東京都以外の競技開催地の10自治体が費用負担を求めないよう要請する文書を提出した。もはや招致時の「コンパクト五輪」は色あせ、大会経費は当初の2倍以上に膨らんだ。都と国、組織委が責任をなすりあう議論は見苦しい。年が明ければ、あと3年。時計は止まってくれない。

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