南西方面の島々や海域での空の守りを固めるため、空母の保有を含む航空戦力の充実を急ぎ検討する必要がある。
中国初の空母「遼寧」がミサイル駆逐艦など5隻と艦隊を組み、西太平洋へ初めて進出した。この行動は、海空戦力の強化が新しい段階に入ったことにほかならない。
日本が平和を保とうとするのであれば、傍観は許されない。国の守りとは、脅威となる国の軍事力を見ながら着実に整えるものだからだ。
遼寧は今月中旬、初めての実弾演習を渤海で行った。その後も黄海、東シナ海で訓練を重ね、ついに南西諸島から台湾などを結ぶ「第1列島線」を越えた。西太平洋で空母の作戦行動をとる意思を誇示したつもりなのだろう。
遼寧は練習艦の位置づけだが、2隻目の空母が大連で建造中で、3隻目は上海で造られていると報じられる。早晩、一定の実戦能力を備えた空母艦隊が出現する。
中国の空母は、台湾海峡有事などの際に周辺海域での米軍の行動を妨げる接近阻止・領域拒否という戦略の手段とみられている。ただし、南西方面での日本との限定戦争にも投入できる。
この海域などにおける日中の戦いを描くコミック誌連載の「空母いぶき」(小学館発行)が人気だ。中国軍の増強や挑発に対抗して航空母艦を導入している。今の日本では、洋上防空を担う空母は予定も構想もされていない。