朝鮮学校に対し、各地の自治体が支出する補助金は、平成27年度で約3億7千万円に上る。
北朝鮮の独裁者をたたえる教育内容や、朝鮮総連の影響下にある学校運営が問題視されてきたのに、是正されない。
公金を使うことが妥当なのか。自治体は改めて見直すべきだ。
朝鮮学校は都道府県が各種学校として認可している。補助金は学費補助などで、文部科学省のまとめによると27年度は18道府県で約1億9千万円のほか、115市区町で約1億8千万円だった。
一方、北朝鮮の核実験などを受け、補助金を打ち切る自治体も相次いでいる。高校の授業料を助成する国の就学支援金事業では、朝鮮学校は適用除外である。
疑問なのは神奈川県の対応だ。3年前の核実験を受け、25年度の朝鮮学校に対する経常費補助の支給をやめた。
その後、黒岩祐治知事は「子供に罪はない」などとして、児童生徒へ直接支給する学費補助に改めた。批判をかわそうと形を変えただけではないか。
ここでおかしな事が起きた。同県の補助金は26年度約4200万円、27年度約5600万円と増えたが、これは朝鮮学校の授業料値上げに伴うものだという。
県によると、幼稚園や小中学校の授業料が前年度の倍以上になったからだ。不自然な値上げの理由もたださず、補助金を増やす姿勢には驚く。
朝鮮学校への補助金をめぐっては、自治体から保護者への学費補助が、「寄付」の形で徴収される不透明な問題も起きている。看過できない。
神奈川県は今年度の支給は留保している。支給条件として高校生の歴史教科書に北朝鮮による拉致問題を記述するよう求めてきたが、果たされていないためだ。
東京都が25年に公表した実態調査で、朝鮮学校の歴史教科書などには北朝鮮の独裁者を礼讃(らいさん)する記述が頻繁にでてきた。学校施設の一部を朝鮮総連が無償で使っている事例もあった。
調査を踏まえ、都は補助金を打ち切った。神奈川県もさらに実態把握を強める必要がある。
朝鮮学校の教科書は、北朝鮮本国の検閲の下、朝鮮総連傘下の教科書編纂(へんさん)委員会が編集してきた。そこに公金を投じるのは、公益性や透明性を欠くものだ。