浪速風

心したい「火の用心!」

家屋が密集した都市で最も恐れられたのは火事だった。大阪も江戸時代から度々、大火に見舞われている。大正末から昭和にかけての名市長とうたわれた関一(せき・はじめ)が、「飛行場にするのか」といわれた幅二十四間(約43メートル)もの御堂筋を建設したのも、延焼を食い止める火除地(ひよけち)の意味があった。

▶さらに完成した御堂筋の両側に約千本のイチョウを植えた。イチョウは葉が厚く、枝や幹にも水分を多く含んで、火事で高温になると表面に水が出てくる。関東大震災でも「水吹きイチョウ」の防火機能が確認されている。「緑のない都市は人間の命を奪う」と言った関は、徹底して防災にこだわった。

▶新潟県糸魚川市の大火は、折からの強風にあおられて、約150棟を焼き尽くした。近隣自治体からも応援に駆けつけた約100台の消防車もなすすべがなかった。地震などは不意を襲うが、火事は日ごろの注意で防ぐことができる。師走の夜に、拍子木と「火の用心」の声が響く。